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不可触な存在となりつつある故郷。避難所に身を寄せる人々は、その想いを断ち切ろうとする人、あるいはそのアイデンティティを支えにする人とさまざま。余人には窺い知れない感情の渦が大きな起伏となって迫ってくる。

双葉町の井戸川町長が2月7日退任した。舩橋淳監督によれば、それぞれが様々な立場に別れざるを得なくなった双葉町民の間に軋轢が生じ、町議会からの不信任決議が出た形だという。
 
物理的にだけでなく、精神的にも「属する場所」を失うということがどれだけ人間をスポイルすることか。「冬には仕事がなく、出稼ぎしか選択肢のなかった町が、原発ができてまちづくりが進んだのは事実。だが誘致は大きな誤りだった。我々は放射能まみれだった。そして全く放射能にまみれていない東京が栄えた」と井戸川氏。

井戸川氏は引退の意思を翻し、町長選への出馬を表明していたが28日、健康上の理由から「激務を果たせない」と一転不出馬に。「国や県に色々な要望をしてきたが回答がなく、限界も感じた」とも。

昨日告示された町長選には4人の新人が立候補した。投票日は3月10日。町は日程に配慮して、震災追悼式を2日に前倒しした。

フタバの人にとっては、何も終わっていないし、何も始まっていないということなのだ。

双葉から遠く離れて トレイラー
東日本大震災による福島第一原子力発電所で、遠く離れた場所へ避難した福島県双葉町の人々に密着したドキュメンタリー。原発事故により、福島県双葉町の住民1423人が、約250キロ離れた埼玉県の旧騎西高校で避難生活を送ることになる。以前は原発によって潤い栄えたとされる町の盛衰と、ある日突然、故郷を失った住民の日常を9カ月…

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